物理化学の教科書で気液平衡に関わって、 気体と液体が連続的に移り変わることや臨界現象の話が登場し、 そしてそれがファンデルワールス状態方程式で説明できることを学びます。 ところが2成分の混合液体のはなしになるとラウールの法則から話が始まり、 気体と液体の連続性のはなしはすっかり忘れられてしまいます。 ですからそもそも2成分の混合液体で気液の臨界現象がどのような形で現れるのか、 取りつく島もないままになってしまいます。 こうした状態方程式にもとづく確固としたモデル、 プロトタイプがない状況が、 混合流体の示す多彩な相挙動から、 多くの人の関心を遠ざけているように思えてなりません。
ここではあくまで状態方程式の立場から、 理想気体とファンデルワールス流体の混合物、 理想気液混合物の気液相平衡について考えます。 2成分系の気液の相挙動を考える上での一つのモデル、 視点を皆さんに提供できたらと思います。
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