実験には下の模式図に示す2種類の装置を用いました。 この中の閉鎖型というのは2つのフラスコを用い互いの間で気体が行き来するもので、開放型は大気が減圧されたフラスコ中に流れ込んでくるというものです。
開放型 |
閉鎖型 |
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図中F、F1、F2は 500 mL の枝つきフラスコにコックをガラス細工で取り付けたものです(枝付きフラスコは買ったのですが、最後のコックの取り付けには苦労しました。バーナーの火力が弱いこともあって、記憶が不確かですが 10 個ぐらい作るのにフラスコを 6 個ぐらいおシャカにしたと思います。 ゴム栓やゴム管でつなぐことも考えたのですが、圧漏れ箇所を極力減らすことを考えて、ガラスを接合することにしました)。 Cは左の写真に示すような、内径が 0.3 mm 程度、長さ 1.0 m のステンレスチューブを巻いた直径 4 cm ぐらいのコイルです。 ステンレスチューブは八光ステンレスチューブ社製の 26G (内径 0.23 mm)と 24G (内径 0.30 mm)を使いました(内径の公差はいずれも 0.02 mm)。 コイルに巻いたチューブの先端の部分は斜めに鋭く落とし、シリコンゴムの栓(ガスクロの注入口に使っている栓が都合がよかったです)に突き刺して、枝付きフラスコの枝に差し込みます(実験ではこの部分から圧漏れが起きることが多かったです)。 圧力変化は水銀マノメーターで0.1 mmHgまで読み取ります。
装置的には開放型の方が簡単で、圧漏れの生じる部分も少なくて確実です。 空気の粘度の圧力・温度依存性に注目するなら閉鎖型がよいでしょう。 しかしたとえば二酸化炭素の粘度を測ろうとすると、閉鎖型のほうが気体を保持しておく点で有利です。 またジクロロメタンやエーテルなど、蒸気圧の低い液体の蒸気の粘度を測ろうとすると、閉鎖型のほうに軍配が上がります。
温度変化を扱う時は、コイルの部分を湯につけて実験します(実際には沸騰した水で行いました)。 氷水に浸けて温度を下げる実験も試みてもらいましたが、その時には乾燥管を介して空気を導入するようにしました。 そうしないと細管内部に結露して、データがひどく乱れます。 結露あるいは誤って水を吸い込んだ場合には、揮発性の高いアセトンを少量流し、ドライヤーでしばらく温めながらアスピレーターで引いて措置しました。
二酸化炭素などを扱う時は、閉鎖型の場合にはフラスコ F1、F2 の中の空気を二酸化炭素をしばらく流して置換して実験します。 なおこの閉鎖型の装置での二酸化炭素の測定時には圧漏れチェックは省略し、コック a と c を閉じてフラスコ F1 を排気し、フラスコ F2 からの二酸化炭素の流出を測定しました。 開放型の場合にはちょっと厄介なのですが、コイルの先を二酸化炭素を溜めたシリンダーの中に入れ、シリンダーに二酸化炭素を少しずつ導入することで実験しました。