2012.8.19.
液体の統計力学のはなし

4.おわりに

液体の統計力学については、 「難しい」と言われたりはするのですが、 何がどう難しいかについては余り語られることがないように思います。 このお話では、液体の統計力学の困難の所在を、 体積(面積)の計算が困難であること、 そして巨視的な法則であるパスカルの原理が、 分子レベルで成り立たないことに求める形で構成してみました。

われわれは暗黙の内に、巨視的なアナロジーを分子レベルに持ち込んで議論することが多いようです。 そうしたアプローチのどこに問題があるのか、 また仮にそうしたアプローチが有効であるとすれば、 それは何を意味するのか。 そういった問題について、 今後皆さんが考えをめぐらす時の何かの参考になれば幸甚です。


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