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第30回液体の化学・夏の学校 プログラム

世話人:吉村洋介(京都大学)

今回の夏の学校は、新旧世代の交流を深め、前提となる知識を整理する意味も込めて、デバイの“有極性分子”(1929)とそれ以降の展開を振り返るところから始めることにしました。 初日はこの「古典論」、そして2日目は保科さんの話、3日目は大場さんの話を中心に構成しています。

各パートは30分ぐらいのゆらぎを見込んでいます。

1日目(8月29日(水))

送迎バスは13:00 JR二条駅西口発(14:00 あうる着)の予定。

-14:00集合・受付
14:30-15:30古典論 1(Debye)
16:00-17:00古典論 2(Debye)
夕食・休憩
19:00-20:00論文紹介 1(Onsager)
20:30-21:30論文紹介 2(Kirkwood)

2日目(8月30日(木))

8:30-10:00保科 1
10:30-12:00保科 2
昼食・休憩
13:00-14:00古典論 3
14:30-15:30保科 3
16:00-17:00保科 4
夕食(BBQ)・休憩
19:00-20:00論文紹介 3(Buckingham & Pople)
20:30-21:30話題提供(後の3方から希望をいただいています)

3日目(8月31日(金))

8:30-10:00大場 1
10:30-12:00大場 2
解散

送迎バスは12:00 あうる発 (13:00 JR二条駅西口着)の予定。

I. 古典を読む: P. Debye 「有極性分子」とその周辺

「古典論」は、初心者向きにそもそもの誘電体に関わる基礎的な事項を紹介し、 P. Debye, "有極性分子", 1929 を中心に取り上げます(ナビゲーターは吉村(洋))。

論文紹介は次の論文を中心に取り上げていただきます
  1. L. Onsager, JACS, 58, 1486 (1936)  (担当:辰巳(東大))
  2. J.G. Kirkwood, JCP, 7, 911 (1939)  (担当:墨 + 岡本(岡大))
  3. A.D. Buckingham & J.A. Pople, Trans. Faraday Soc. 51, 1029 (1955)  (担当:大場)
それぞれの論文を、どのように料理していただけるか、乞うご期待!

II. 誘電率測定の実際と応用: お話 保科貴亮さん(日本大学)

前半では液体の誘電率が について測定手法(キャパシタンス法・TDR法・周波数変化法など)を中心に説明する予定です。

後半では液体の誘電率が、どのような分野で求められているのか(活かされているのか)について、 話題提供を行っていきたいと思います。

III. 流体の誘電率の分子論の基礎: お話 大場正春さん(名城大学)

1970年代から80年代かけて、分子性液体の誘電率をめぐってさまざまな議論が交わされました。
「誘電率の実在性を疑う」という、ちょっと刺激的な観点から、下記のような構成でお話しいただける予定です。

  1. 初めに: 誘電率は実在するのか? 1970年前後の議論
  2. 誘電率とクーロンポテンシャルの遮蔽
    1. 誘電率
    2. 誘電関数
    3. 静的誘電関数とクーロンポテンシャルの遮蔽
  3. 分子間力
    1. 短距離力と長距離力
    2. Interaction site model と静電ポテンシャルの多重極展開
  4. 一般化Kirkwood 式と誘電率
    1. 一般化Kirkwood 式の誘導 主にフレーリッヒの著作から
    2. 誘電率の実在性について
    3. 電解質溶液の“誘電率”
  5. 多原子分子流体の静的誘電関数とクーロン力の遮蔽
    1. 静的誘電関数の相関関数による表現と遮蔽されたクーロンポテンシャル
    2. 再び電解質溶液の“誘電率”について
  6. RISM-1,2と誘電率
    1. サイト―サイト相関関数の漸近形
    2. RISM1,2と誘電率
    3. 極性2原子分子流体のRISM-2による解

★話題提供

☆大西(九工大)
3D-RISM計算の溶媒分布から導くEcoRVのDNA切断反応における水分子とMg2+イオンの役割
☆甲賀(岡大)
疎水効果に対するイオン添加効果
☆川嶋(阪大)
グレブナー基底で実験計画法。VR。

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