世話人:藤原一朗(大阪産業大学)・吉村洋介(京都大学)
今年の「液体の化学・夏の学校」は、講師に大場正春さん(名城大学)、宮野善盛さん(倉敷芸術科学大学)のお二人を迎え、9月3日(火)~5日(木)の2泊3日の日程で、大阪産業大学の「みさき研修センター」 をお借りして
という渋いテーマで開催されました。
今回の夏の学校では、液体・流体の統計熱力学と長年にわたって向き合ってこられた講師のお二方、それぞれの薀蓄を傾けたお話を聞くことができました。 大場さんの話からは、過剰熱力学量の測定から始まって、積分方程式の方法に基づく液体の研究に向かわれた足跡、 宮野さんの話からは、平衡物性の半経験的な推算の試みから、計算機の中で相共存を実現させるまでの足跡、 それぞれが窺えました。 扱っている問題は似ていても、お二人の問題意識、手法は違い、そこにまた今後の新しい展開が期待されるように思えます。 もっとも「初めは処女のごとく、後は脱兎のごとし」という憾みがあり、若い層にはフォローし難いところがあったかもしれません。
秋山さんの話は、巨大分子の機能発現といった、強く物質の個性に寄りかかった物理的な話で、 液体の関わる問題の広さを感じました。 また藤原さんの話は、Flory の格子理論にあった「予測可能性」が今日の液体の理論に失われていることを強く訴えるもので、いろいろ考えさせられるところのあるものでした。 吉村の「液体論夜話(?)」は、まだ平衡統計力学の体系の存在しない時代、ZernikeとPrins の直観的で鮮やかな液体構造についての洞察に光を当てようとしたものでした。
次回の夏の学校は、名古屋大学工学部の山口毅さんの世話で開催されることになっています。 乞う御期待!!
入佐さんの撮影された夏の学校風景を紹介します: 夏の学校風景
時間割はこちらのページをご覧下さい: 夏の学校スケジュール
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今回の夏の学校の開催要綱は、次のページをご覧下さい。
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