ver 1.5 1991.5.6.
revised 2000.4.21.

最小二乗法の話 その3

―― どれぐらいもっともらしい?? ――

3.パラメーターの誤差の評価

もっとも、もっともらしい直線関係の式をえたわけですが、ではそれは、どれぐらいもっともらしいのでしょうか?いくつか考え方があるでしょうが、たぶん一番考えやすいのは、引いた直線を少しずらしてみた時、どれくらい偏差が大きくなるかということでしょう。そういった立場から、少し考えてみることにします。

a0 = a0(0) + da0, a1 = a1(0) + da1 というパラメーターの微小な変動を考えます。ここで a0(0)、a1(0) は前章で決めた最適値を表わすものとします。この時、先の S(a0, a1) の変動は次の式で与えられます。

LSMEQ10   (10)

ここでs12 = ・・・ = sN2 = s02とおきました。 (10)式 2段目の式において、[ ] 内の第1項は正規方程式から 0 になり、結局次 式となります。

LSMEQ11   (11)

つまり、最小2乗の条件が満たされる時、決定したパラメーターの“もっともらしさ”に対する分布は、2次元の正規分布に従うわけです。もう少しあからさまに書けば

LSMEQ12   (12)

と表現できることになるわけです。(12)式から、a0、a1 の分散を求めると次のようになります。

LSMEQ13   (13)

LSMEQ14   (14)

なお da0da1 は独立ではないので、分散の取扱いには注意が必要です(付録B参照)。ここで問題は y の分散 s02 になるわけですが、これは最適化した直線からのはずれぐあいから、

LSMEQ15   (15)

で評価できます。(付録A参照)


☆前章で取り上げた例について、上の手法でパラメーターの誤差を評価してみよ。


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