2005.1.4.

「物理化学の進歩」第16巻(1942)より

戦時色が濃くなり、原報は邦文になり、後に英文のアブストラクトを付けるようになります。 読みやすくするために新字新かなにし、一部漢字をかなに改めています。


「物理化学の進歩」編輯の改正について

大東亜戦争の開始せられてより赫々たる皇軍の戦果は世界の驚異で在り吾等一億国民の感激の極である。 今や大東亜共栄圏の確立は将に近きにあり、我が国学術の進歩も亦この皇国の発展に即応して急激なる進歩を予期せられねばならない。 この時機に当たり本誌が従来原報の発表を欧文を主体としていたのはたとえ海外版の印刷の便宜上の事とはいえ今の時代に相応しからずと考えられる。 依って本巻より原報発表は邦文を主体としてこれに欧文の抄録を付する事とした。 尚お我が国における物理化学研究の文献英訳は内地版には掲載せず海外版は邦文の原報(欧文抄録付)と英訳文献集とを以ってする事とした。 読者各位のご了承を願いたいと思う。

この機会に平素より日本物理化学研究会の御後援を賜わりおる各位に対して深甚の感謝の意を捧げ、なお大方の諸賢の本誌の発展に対してますます御後援を賜わらん事を切望する。

昭和17年1月
編輯主幹 堀場信吉
鮫嶋實三郎

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