2003.5.9.

「物理化学の進歩」第8巻(1934)より

この号から発行所が至文堂から物理化学研究室に移り、版形も少し大きくなり(B5サイズ)、隔月刊となります。


第8巻の刊行にあたりて

大正15年10月本誌第1巻第1集[輯]を発刊してから既に八星霜に垂(なんな)んとしていますこの間本誌は幸に読者諸君の御後援によって漸次発達を遂げ今や第8巻を刊行するに至りました。 第7巻までに本誌に発表せる原報55編紹介86編幾分にても我が国の物理化学の進歩に貢献する処あったとせば吾人編集者ならびに発行者ともにその努力は報いられたものと信じます。 在来本誌の発行は至文堂主人佐藤正叟氏が学界のため多大の犠牲を敢えて忍んで引き受けて下されたのであります。 其の篤志については吾人編集者が常に多大の敬意をはらっておったところであります。 今度都合により至文堂は本誌の発行を辞退されましたので本巻よりその編集発行共全部京都帝国大学物理化学研究室ならびに化学研究所堀場研究室に於て行う事に致しました。 此の機会に於て吾人は再び佐藤氏の在来の厚志に対して深き感謝の意を表したいと思います。

上述の事情により本巻よりその編纂の体裁をやや変更して雑誌の大さも標準型に改め隔月(偶数月)発行の定期出版物に致しました。従って原報もなるべく広く御投稿を願い紹介抄録等充分の努力をはらって今後は本誌によって吾が国はもちろん世界物理化学の進歩の全貌を窺ひ知る事が出来る様に漸次編集を向上せしめたいと思います。然し斯の如き雑誌の刊行には幾多の困難がともなうことは読者諸君に於て御了解をして頂ける事と思いますから今後充分の御後援を賜わらん事を御願いいたします。

教授 堀場信吉

第8巻の目次に返る